蓮は、抵抗どころか拒む言葉さえ言わなかった。
ただ黙って俺に抱かれていた。
そして、おずおずと、俺の背に手を回した。
「むかつく…。
どうしてなの…幼なじみだったのに…。
蒼なんか、ただの幼なじみだったのに…っ」
「ごめんな、蓮。
驚いただろ、困っただろ。
好きになって、ごめんな…。
でも…抑えらんないんだ。
蓮のことがずっとずっと前から、ずっとずっと好きで仕方ないんだ…」
ひっくひっくと子供みたいに泣きじゃくって嗚咽が止まらない蓮が、俺の言葉に応えることはなかった。
けどもう、それでもよかった。
こうして、俺の腕の中にきてくれたから。
同じくらい強く、俺の身体をきつく抱きしめてくれるから。
それが言葉以上の蓮の応えだと、充分実感したから。