「…どやって入ってきたの。鍵閉まってたのに」
「それは…」
と、蓮はおもむろにポケットから鍵を出した。
「俺ん家の合鍵…?」
「…伊達に幼なじみやってるわけじゃないんだから…。
合鍵の在り処くらい、昔から知ってるもん。
あんたが昨日入って来たのと同じだよ…」
「……」
熱によるものとは違う高鳴りを感じ始めながら、俺は続けた。
「学校は?」
「サボってきた」
「おまえが?
だって優等生だろ。無遅刻無欠席更新中だったろ?」
「…そうだけど」
「これでパァじゃねぇか。
てか、無断欠席なんてして、あとで担任になに言われるか」
「…解かってるよ、うるさいわね…!」
「……」
「…あんたの、蒼のせいなんだからね…」
蓮はうつむくと微かに震えた声で続けた。
「どうして、出ないのよ…電話」
「…え?」
「嫌われたかと…思ったじゃない…」
蓮はにらむように俺を見つめた。
その赤く腫れた目には、また、涙が浮かんでいた。
「蒼に嫌われちゃった、って思ったら、つらくて、目の前が真っ暗になって…。
学校になんか、いられなかったんだもん…!」
「…れ、ん…」
「もういいよ…なにしてもいいよ。さわってもいい、抱き締めてもいい、キスしてもいい…。
嫌わないでよ…。
私…蒼に嫌われたくない…嫌われたくないよぉ…」
気づけば俺は、蓮を抱き締めていた。
きつくきつく、もう絶対に離さない、と念じながら。



