振動が伝わってきた。
枕元に置いていたスマホに着信が来ていた。
岳緒からだ。
しんみり気分をすっ飛ばしてくれそうな人物からの着信は素直に嬉しくて、すぐにタップした。
「もしもし」
『あ、蒼?
なんだよおまえ、ズル休みしやがって』
意外にも、その第一声は暗く沈んでいた。
「風邪ひいたんだよ。担任言ってなかったか」
『はぁ?昨日無断でサボるから罰当たったんだろ。
先輩はキレていつも以上に厳しくなるし、俺たちとんだとばっちり食らったんだからな。
あーあ』
「なんか岳緒、元気ないな?」
『わかるぅ!?
はぁーさすが蒼…!気づかいはそこいらの女子以上…っ』
さてはこいつ…。
俺を心配してじゃなくて、愚痴吐きたかったから掛けてきたな…。
まぁいい…。
黙って寝込むのもつまらねーと思ってたところだ。
暇つぶしに付き合ってやるか。
長くならないことを願うが…。
「なにがあったんだよ?」
『実は俺、フラれたんだよね』
「彼女に?」
『そう。
本当は私のことなんか好きじゃないんでしょ!?なんてキレられて…』
それは自業自得だろ。
と言いかけて止める。
けどそうとしか言いようがなかった。
とにかくこいつは節操がない。
彼女がいるのに他の女に目移りすることなんて日常茶飯事だ。
特に蓮に対する執着度と言ったら…。
悪いが、心の中では『いい気味だ』と言っておくぞ、岳緒。



