「そんなに『幼なじみ』がだめなのか?」
「え…」
「どうがんばったって『幼なじみ』って枠からは出られないのか?
俺はいつまでも『へなちょこ』のままなのか…?」
蒼…。
そんな泣きそうな顔、しないでよ…。
「いいよもう。
今日はこれで帰ってやるよ」
ふいと背けて冷たく言い放つと、蒼はリビングを出て行こうとした。
「ま…待って…そ…!」
「なんだよ!?」
突然張り上げられた大声に、言葉をつまらせた。
「私…わたし…」
言葉の続きが出てこない…。
私なにを蒼に伝えたいの…。
「今日はもう、おまえの顔はみたくねぇ」
「待っ…蒼…!」
「話しかけんな!」
蒼は乱暴に廊下を歩くと、乱暴にドアを開けて出て行ってしまった。
雨も小降りになって、
静かなリビングには、独りきりになった私の泣き声だけが響いていた。
「待って…待ってよ、蒼…」
行かないで…。
私を嫌いにならないでよ…。
言葉にするには遅すぎた想いが、涙と一緒にいつまでもこぼれ落ちていく。



