「や…、こんなの…やだぁ…!」
「やだじゃねぇよ。
ぜんぶ、おまえが悪い」
「や…」
こばまなきゃ…。
やだ…
やだ…
なのに、
手がびくともしない。
ううん、それ以前に…。
力が、入らない。
麻痺したみたいに、力が湧いてこない。
私…
こばめないんじゃなくて…
こばみたくない、って思ってる―――?
唇に柔らかい感触を感じた―――。
それが
キスと解かるまでは、数瞬が必要だった。
だって、唇がふれただけで、こんなに胸が痛くなって、蕩けそうになると思わなかったから―――。
苦しくて顔を背ける。
けど、息をする暇もなく、また押し付けられてしまった。
「も、いいでしょ…も…」
「まだ」
「んっ…
一回だけ、って…!」
「悪ぃ。
一回じゃ、やっぱ足りなかった…」
うそつき…。
うそつき、うそつき…!
二回、三回…どころじゃない。
何度も何度も重ねられて、息するタイミングを失う。
苦しかった。
息がしづらいせいだけじゃなくて、胸が押し潰されそうなくらい、甘く痛んで…。
身体の中が熱くなって、
頭も心も、とろとろにとろけ落ちていく。
「息、して…。
口じゃなくて…うん、そう…」
暗闇の中から声が落ちてくる。
低く掠れた、こんな声聞いたことないってくらい、
色っぽい声で…。
「きもちいい?蓮…」
「…ん...」
いつしか私は、
繰り返されるキスを、夢中で受け入れていた。



