さっきよりもずっと大きく聞こえる雷の音が、私に無意識に手を動かさせていた…。



ああもう…

私の意気地なし…!

こんな時まで怖気づいてどうするのよ…っ。





くす、と蒼の短い笑い声が聞こえた。



「やっぱ怖い?
俺と離れるの不安?」


「そ、そんなんじゃ…」


「ああそう。
じゃあちょっと行ってくるから、この手離して?」



手首がつかまれる。



けど、理性とは裏腹に、手はなかなか袖を離そうとしない…。



蒼の指が、その私の指に絡まった。



「…やっぱおまえって、昔からそうだよな。
ほんとはすげー臆病なくせに、強がっちゃって」


「……」



今ばかりは、真っ暗で良かったと思う。



図星を言われて、こんなに火照った顔なんか見られたくないよ…。





「…あー。

やっぱ可愛いな、くそ…」





不意に、握られた手に重みを感じた。





え…なに…?





かと思うと、身体全体に、重みと熱を感じた。



暗闇でもわかるくらい近くに、蒼の綺麗な顔があった。





え…

私…ソファに押し倒されてる…?





「おまえのそういうところ、好きなんだよな…。

たまにムカつくけど、やっぱ、可愛い…」