生意気よ。



私をずっと好きだったなんて。

私を困らせるなんて。

私をものにするだなんて…。





生意気よ。





…ううん…ちがう…





ちがう…よね…。





生意気なのは…





私…。





あの時、蒼は一生懸命、小さな身体で私を守ろうとしてくれたんだね。



蒼ってば、きっと、



あんな小さな頃から、私のことが好きだったんだね…。



そしてそれからもずっと、そばにいてくれて、私を見ていてくれたんだ。





『蓮ちゃん、

待って蓮ちゃん』





いつも私を追いかけてきた蒼。



それはきっと、意地っ張りで強がりな私が、独りぼっちにならないためなんだ…。



そして、



めんどくさい、世話の焼ける、ってだけしか思わなかった私も、本当は心の奥底では、蒼がいてくれてよかったって思ってたんだ…。





私、自分が思っているよりずっと...

蒼がいないとダメなのかもしれない...。





ガチャリ





とそこへ急に、玄関から音が聞こえた。





誰か、入ってきた…?





鍵は閉めたけど…合鍵使われた…!?





そういえば、ドアチェーンは閉めてなかった―――。





背後から、重い足跡が近づいてくる...。




やだ、泥棒だったらどうしよう…!?




ううん…




それよりずっとアブナイあの人だったら…。





「…蓮」





不意に、背後から抱きしめられた。