「隠れろ、蓮」


「え?」


「早く。その下に」



と、無理矢理大机の下に隠れさせられる。



え、なに?

なに?





「あ、蒼くん、ここにいたんだ」



女の子の声が、化学室に響いた。



「ああ…鍵開いてたんだ。
突然呼び出してなんだよ、仲川」



仲川?



もしかして、そうにオムライスをプレゼントしていた、あの仲川里奈さん?



「こんなところに呼び出されたってことは…どういうことかわかるでしょ?
蒼くん、モテモテだもんね」


おどけた調子で言う仲川さんだけど…声が少し震えている。

緊張している…。





これは…この雰囲気は…まさか。



私でもわかるよ。



告白の場面だ…!





どうしよう私、なんて場所に居合わせてしまったんだろ…。



というか…この化学室はそういうのに持って来いの教室なのかなぁ??

確かに、校舎の隅にある地味な教室だから、こっそりなにかをするには使いやすそうだけど…。

それにしても、みんな告白したりされたり…青春しすぎ…!

まぁ、私もその当事者のひとりだけど…。





「悪いけどさ」



蒼は少し間を置くと、静かに口を開いた。



「俺、好きなやついるから、応えられない」


「それって、もしかしてあの幼なじみ?」


「…」



ドキ…。



息を殺していた私の胸が、大きく弾ける…。