「ど、どうしたの?
先帰ってもいい」


「芦名ってさぁ、付き合ってるヤツいんの?」





え…。





唐突な質問に思わず振り向くと、軽薄そうな痩せた顔がすぐ近くまで来ていた。



「あの相模ってスカしたヤツと付き合ってんの?」



煙草臭さに息が詰まりそうになりながら、私は笑って首を振る。



「まさか…!
蒼はただの幼なじみ」



「へぇ…
蒼、って名前呼びなんだ。
さすが幼なじみ」



ニタ、と赤石は八重歯を見せた。



「いいねぇー。
俺も芦名に『ノブ』って言われてぇな」



手をつかまれた。

思わずびくりと身をすくめる。



「あ、その顔、もしかして怖がってるぅ?
やっべぇ、ムラつくなぁ。
いっつもツンツンしてっから、そういう顔見せられるとすげぇコーフンすんだけど」





なに…言ってんの…?





嫌な予感がして、私は焦りを覚え始める。



「俺のダチもみんな言ってんだけどさ、
芦名ってまじキレ―でエロくてヤベェよな。
どうせあのスカしヤローと付き合ってんだろ、って思ってたけど…ふぅん、ただの幼なじみなんだ。

じゃあさ、俺のカノジョになってよ」