どうしてこんなのがわざわざ手伝いに来たのよ…。



怖くてつっけんどんになりそうなのを押さえて、私は普通になるよう努めて話し掛けた。



「赤石…どうしたの?」


「どうしたの、って、手伝いに来たんだろー。
ったく、山口のやつ、めんどくさいからって生徒に押しつけやがって、ムっカつくよな!」



と、よれよれの通学鞄を乱暴に床に投げ捨てる。





こ、怖…っ。





「…もう終わるから大丈夫だよ?」


「ああ?
なに?あとビーカーだせばいいの?」


「うん…そこの戸棚の箱に…」


「あーはいはーい」



と、ガチャガチャと無造作に箱を机に置く。



そんなに乱暴にしたら、割れちゃうってば…。



「あとはー?」


「もうないよ。
ありがとう、先帰っていいよ。
私は数確認してから帰るから…」


「あそう」



ズっズっと靴の踵を引きずって、赤石はドアに向かった。





よかった、さっさと帰ってくれた…。





と安心したのも束の間―――



バンッ。



ドアが閉められたかと思うと、赤石が私の元に戻って来た…。