「二度と俺を見下すな」


「――-…」


「言っただろ。
もう俺は昔の俺じゃないんだ。

ちゃんと、今の『俺』を見ろよ…」


「……」


「…俺は、おまえに認められるために努力してきたんだ。
その俺に、ちゃんと報いることしろよ…!

俺が受け入れられないなら、ちゃんと振れ。
『幼なじみだから』って理由以外でな」





それまでは俺、全力でおまえを落としにいくから。





そう言い残すと、蒼はリビングを出て行った。



ふざけんな…ばか…!



って罵倒してやりたかったけど、取り残された私の口から出てくるのは、嗚咽だけだった。



ショックだった。



なにもかもが壊れてしまった。

変わってしまったから。





ううん、違う…。





蒼はもうずっと前から変わっていたんだ。



私がいつまでも気づかなかっただけ…。





でも、こんなの…

あんまりだよ…。



だって蒼は家族だよ…。



『蓮ちゃん』



って、いつも私のそばをついて離れなかった、可愛い幼なじみなのに…。





私は、すがるようにリビングの写真立てを見た。



けど、



大好きだった小さい頃の蒼が写ったあの写真は、伏せられていた…。