『もうほんとに急でね…会社からそのまま駅に行かなきゃならないくらいで。
ほんとに、ごめんね…』
「……」
『聞こえてる、蓮?』
私は、涙をこらえるので必死だった。
ひどい。
蒼の嘘吐き…
悪魔っ…!
『蓮?
出張なんてしょっちゅうしてるし、平気よね?
それに、蒼くんもいるし』
「……」
『さっき久しぶりにしゃべったけど、すごくしっかりしていて頼りになりそうだったわね。
あの小っちゃかった蒼くんも、もうすっかり大人なのね、って感心しちゃった。
たしか蒼くんのご両親も旅行に行ってて、蒼くんひとりなんでしょ?』
「……」
『だから仲良くお留守番しててよね。
ふたりなら大丈夫でしょ』
大丈夫なんかじゃ、ないよ…。
お願い…お母さん…
帰って来てよ。
私を蒼とふたりっきりにしないで…!



