「美保ちゃん、遅すぎだよね!」





私はリビングの時計を見て仁王立ちしながら叫んだ。



残業でこんなに遅くなるのは初めてだし、

泊まりがけとなったら、連絡をくれてもいいはずなのに、ちっとも音沙汰がないのはおかしい



―――と思ったら、



「そう言えば、おばさんから『仕事忙しいから遅くなる』ってさっき連絡きてたよ。
おまえ、スマホ部屋に置きっぱなしで気づかなかったから、俺のに連絡が来た」



蒼がさらっと言った。



「なんでもっと早く教えてくれないのよっ!」


「またかけるから、って言ってたからさ。
そのうちかかってくると思って」



もう…他人事だと思って!



そっか、美保ちゃんそんなに忙しいのか…。

大変だなぁ…。

無理しないで疲れたなら泊まってくればいいのに…。



食べてくるかもしれないけど、夕食はラップして置いておこう。

あと、ビールも冷やしといてあげて…。



と準備し終わって、一息つくと、はたと気づいた。