その時。
グイッと後ろから腕を引かれて、またベンチへと引き戻された。
「冗談だよ。別にいていいから。」
そう言って、彼は優しくほほえんだ。
不覚にも、キュンとしてしまった…
いつもみたいに、強引で自分勝手で、めちゃくちゃであってくれればいいのに。
どうしていきなり、優しくするの…
弱ってる時に限って、ずるい。
「ここさ、空、見えるだろ。」
するといきなり、上を見ながらそう言ってきた沢田くん。
私もつられて、顔を上げた。
「わあ…」
穴があいているかのように、ちょうど生い茂る木がここを避けて、一直線に空が見えた。
「ここだけなんだよ、空見えんの。だから、俺の特等席。」
そう言う沢田くんを見ながら、不意に体育祭でのことを思い出した。
