◼︎里沙子 side
私、矢崎 里沙子。
部活の休憩中に、無心でボールをついていた。
頭の中の邪念を払うかのように、ただひたすらと。
「りーさーこー!」
そんな時、突然私を呼ぶ大きな声がした。
思わずビクッとして、ついていたボールが転がっていく。
その先には、ふてくされたように私を見る沙耶の姿があった。
「あ、ごめん、呼んだ?」
すると、沙耶はボールを拾い上げ、こちらに近づいてきた。
「まったく、何回呼んだと思ってんの。…なんか考え事?」
「うーん、まあ。」
沙耶からそんなに呼ばれていたとも気づかず、自分の世界に入っていたことを実感した。
「ねえ、里沙子ー?」
「んー?」
体育館のステージ上へと移動しストレッチをしていた私に、何か言いたげな顔で声をかけてきた。
