「なにが。」
そう言ってじっと私に向けるその目を、まともに見ることができなかった。
この人、苦手だ……
「あの、校門でのこと、噂になってるから。」
私はスカートをギュッと掴み、彼を見ないように前を向いた。
しかし、彼は平然としたまま。
「だから?」
ただそれだけ言った。
開いた口が塞がらないとはこのことか。
「いや、えっと、だから…」
「俺はあんたのこと助けただけだよ。」
そう言われて、なにも言い返せなかった。
たしかに、そうだけど…
感謝してますけど…
そういうことじゃないじゃんっ
私は内心そう思いながら、大きくため息をついた。
この人になにを言っても無駄なんだ。
「なんでもないです…」
私はしょぼんとしながらそう言った。
