まだ6月も半ば。

私は、これまでの高校生活で1番注目を浴びていると思う。

「あ。」

教室に入るなり、沢田くんと目があった。

私の顔を覚えていたみたいで、そう声をもらして反応する。

「この前の人。」

私が席に座ろうとすると、隣でそう呟いたのが聞こえてきた。

やっぱり、覚えてたんだ…

土日を挟んで、沢田くんとのことがあったのは4日前。

なんだかんだ噂なんて消えてくれるだろうなんて安易な考えだったけど、全くそんなことはなかった。

「同じクラスだったのか。」

私は何も言っていないのに、一方的に喋り続ける沢田くん。


「あの、困ります。」

私は勇気を振り絞って声を出した。


すると机に伏せていた体制を変えて、彼はこちらに顔を傾けた。