不覚にも、見とれてしまった。
かっこいい…
ただそう思った。
見つめあった時間なんてほんの何秒かで、私はすぐさま彼から離れた。
「どうして…」
私は精一杯の声を絞り出した。
彼に助けられ、後ろから抱きしめられ、あんな至近距離で顔を合わせて、ドキドキが止まるわけがなかった。
でも、なんでこの人、話したこともない私なんかを…
すると、沢田くんは平然とした顔で言った。
「困ってたんじゃないの?」
ただそれだけ言って、私の横を何食わぬ顔で通っていった。
残された私は、その状況を目撃して立ち止まっていた全員から見られ、耐えられなくなりその場を立ち去った。
