「うわー、やっぱすごい人だね。全然自分のクラスなんて探せないや。」

校門を抜け、下駄箱前の掲示板には人だかり。

背伸びをしてみても、隙間から覗こうとしてみても、全然見える気配がない。


「うん、無理だと思うわ。」

そう言って、私の頭をポンポンとなでた。


三浦は、178センチもある長身。

それに比べて、私は155センチ。


「もおっ、うるさいっ!」

ムッとしながら手をはたくと、笑いながら「悪い悪い」と手を合わせた。


「でも、本当人減らないなー。なんでみんなギリギリにくんだよ。」

「ははははー。」

そんなこと言っても、私たちだって人のこと言えないんだけどね……

と、私は内心そう思った。


「だけど見えないと困るよねー。始業式間に合わなくて、怒られちゃう。」

「藍川ー、2組。」

「え?」

ただそれだけ言われて、思わず聞き返してしまった。