「まったく朝から落ち着かない子ねえ。」
後ろから聞こえるそんな声を聞き流し、ローファーに足を突っ込んで外へ出た。
私の通う高校は、三つ先の駅から徒歩5分の場所にある。
家から駅までは走ればすぐだから、だいたい30分みれば余裕でつく。
だけど、今日は電車の時間ギリギリだー!
ーーープシュゥゥゥ…
「はぁ、はぁ、間に合った…。」
ーーー駆け込み乗車はおやめください。
そんなアナウンスと共に、たった今ギリギリの駆け込み乗車をやってしまった。
でも、とりあえず間に合ってよかった。
壁にもたれ、息を整えながらそう思った。
「お前もギリかよ。」
すると、近くから聞こえてきた耳馴染みのある声。
私が顔を向けると、その人は汗を拭いながらニッと笑った。