「矢崎さんって、かわいいね。」
「なによ急に。」
帰り道、駅前のカフェで座りながらふと思った。
「沢田くんと一緒に帰ってったんだけどさ。さっき初めて目の前で見て、すごい可愛かったの!」
「ふーん。まあ、あれはモテるよねー。」
沙耶は飲み物をすすりながら、共感したように頷く。
「でも、あの二人は絶対付き合ってると思うんだけどなー。」
沙耶の口からは、突然思いもよらない言葉が発せられた。
「え、幼馴染みでしょ?」
そう言う私に、呆れたような顔をする。
「そんなのわかってるけど、里沙子と他の女との扱いの違いっていうの?全然違くない?里沙子も里沙子で、あんなモテるのに彼氏作んないし、沢田のこと見る目はキラキラしてるし。」
「え?ちょちょちょ、待って。」
沙耶が長々と熱弁している中、途中途中で出てきた「里沙子」というワードに引っかかって、全然内容が頭に入ってこなかった。
