「でも、あいつ信じてたよ。矢崎はやってないって。」
すると、俺の言葉を聞いてハハッと小さく笑い、手すりを背に寄りかかって言った。
「どうする?本当にひなたちゃんのこと嫌いだったら…」
その時の矢崎の顔は、本気だった。
冗談なんかじゃなく、一点を見つめながらクスリとも笑わないあの感じ。
「そうだとしても、本当に矢崎が怒ってやるんだとしたら、正々堂々とぶつかってくるって言ってた。こんなコソコソしたやり方しないって。」
そう言いながらも、内心戸惑っていた。
あんな顔を見たのは初めてだから。
矢崎は我に返ったように顔を上げると、笑顔で大きくため息をついた。
「はーあ。そんな純粋な目で見られてたら、なんも言えないよね。」
そして、お手上げだと言うように笑い出した。
