「はやく来んか!」 浪士がぐいっと引っ張る。 周りにはまだ人がちらほらいるが、誰も助けようとはしない。 道着さえ着ていれば……。 でもこんな所で目立ちたくない。 連れ込まれたところを返り討ちにすればいいよね。 「痛っ!はなしてください!」 「わしらはお国のために日々働いている武士だぞ!さっさとこいっ!!」 相手は酒を飲んでいるからか、かなり興奮していた。 握られた手首を強く引かれ歩き始めたとき…… 「おっなんだ喧嘩か!?」 不意に別の男の声が聞こえた。