今夜はここから少し先の宿に泊まる予定だ。
少し早歩きをして暗い道を進む。
大通りに出ると、人はまあいるが、中にはガラの悪そうな連中もいるようだ。
私はなるべく身を小さくして、はや歩きで行く。
が、下ばかり見ていたからか、誰かとぶつかってしまった。
「す、すみません。」
「あぁん!?
てぇめ〜、ぶつかっといてそれだけではないだろうがぁ〜!」
あぁ…………。
酒臭い、二人組の浪士にぶつかってしまった。
どうしよう……こんな時に着物だもんな…
そんなことを思っていると、おもむろに手を掴まれた。
「へへへ、ちょっとこ〜い!
わしらがどれだけえらいのかわからせてやる!!」
「あの……っ…やめてくださいっ!」
体術は使えるが、今は着物、荷物も持っている。
