「いやしかし、お前の師は大変優秀な弟子を育てたことになるな。

師に感謝するといい。」



「はい...。

先生に指導していただいたこと、誇りに思っています。」



満面の笑みで ゆっくりとそう告げた彼女は、やはり間者には到底思えず。


今まで彼女のことを疑っていた己を恥じた。








ザワザワーーーーーー....





外から数人の声が聞こえてきた。


隊士たちが朝稽古のため起きてきたのだろう。




「あっ...もう時間ですね。

では私は朝餉を作りに行きます。

斎藤先生、お手合わせありがとうございました!」



「あ、ああ。」



そう言うと御堂は片付けをはじめ、素早く道場を去っていった。








...このことは土方副長にお伝えすべきだろうか...?



医術に長け、さらに柔術にもこれほど長けているとは思わなかった。



彼女はこの人手不足の浪士組の中では、きっと色々な役に立つだろう。



とりあえず報告しておこうか。