「...ええ、一応相手は局長ですからね。
ですが、私はもう一人の男子としてここに居ます。
女、女と言われるのは不愉快です。
殴って申し訳ありませんでした。
痛むようでしたら後で湿布をお持ちしますが...」
最後はきちんと頭を下げ、謝罪を述べたものの、未だ警戒心は解けない。
一体何を考えているのか...
「なに他愛もない。
今の勢いでだったら貴様は十分この男所帯でやっていけそうだな。」
意地悪くこちらを見ると、にやりと笑った。
「え...」
...もしかしてこの方は、私を心配してくれたのだろうか。
かなり遠回しではあるが。
「ふん...もう良い、下がれ。」
懐から鉄扇を取り出し、しっしっというような仕草を取るとくるりとそっぽを向いてしまった。
「はい、失礼致します...。」
酒を乗せた膳を持ち、部屋から出ていこうとすると、
「ああ、そうだ。
貴様、按摩はできるか?」
へ?
ばっとそちらを振り返る。
「できますが...」
「年のせいか、近頃は肩が凝るでのう。
たまに按摩に来い。」
「わ、分かりました。では、その都度お呼び下さい。」
「うむ。」
彼は満足げに微笑んだ。
そして、今度こそ部屋を出たのだった。
