「葉月、もう眠いでしょう。ねぇさまも寝るからおいで?」
すると葉月はよたよたしながら朔さんのあとについていく。
葉月を寝かしつけたあと、私は朔さんのところへ向かった。
すると朔さんが、待っていたというように、こちらを見る。
「…大変やったね………あんた…。
小さい妹連れて、はるばる京まで来たんやろ?」
「…はい。特に妹が…。
急な話で申し訳ありませんでした。」
「ええんよ!困ったときはお互い様や。
…それに、あんたは悪くない。
悪いのは、あんたらの親を殺した浪士や。
なんも気にやむことあらへんで。」
と、励ますように言った。
「…それでも、妹がお世話になる以上、ご迷惑がかかるので、お金だけは仕送りさせてください…!」
「なに言うてんの!そんなお金どこにあるん?!あんた、自分の生活だけで精一杯やろ?」
私は、葉月が寝ている部屋をチラと見る。
「私ももう一人の医者です。
なにか医療に関わる仕事をします。
それに、私の両親の残してくれたお金もわずかながらあるので。」
安心してください、というように微笑む。
「いや…たしかに優月ちゃんは若いのに立派なお医者さんになったようやけど…。
うちが心配しとんのは、お金のことやない。
あんたのことや!
まだ若いのに、一人で暮らすんやろ?
危ないわ!
ただでさえ今、京は治安が悪いんやで!?」
"壬生狼"なんてのもでてきたし……とボソリと呟き、心配そうに私の肩に手を置く。