「えー…っと…あ、これなら合うんじゃねえか?!」
藤堂先生はガサゴソと行李の中を漁ると、着物と袴を取り出した。
ばっと私の目の前に広げられた着物は紺色で、袴は灰色の 彼のものにしては少し小さめの着物だった。
「貸してくださって、ありがとうございます…!あの、着てもよろしいでしょうか?」
と聞くと、
「あぁ、着てみろ!
てかそれ、お前にやるよ。
もう俺には小さいから古着屋に出そうかと考えてたとこなんだ。」
「そうだったのですか…それはちょうど良かったですね。
そういう事でしたら、ありがたく使わせていただきます!」
ペコリと頭を下げそう言うと、彼はぶはっと笑った。
「俺とお前、歳1つしか変わらないだろ?
そんなかしこまんなって。敬語とかいいから!」
「いえ。
目上の方にはしっかりと敬意をもって接しなければならないと、父から教わっていますから!」
真面目に言ったつもりだが、彼は一瞬キョトンとした顔をすると、さらに笑った。
「いやー、お前って一くんとおんなじくらい真面目だな!
俺、大抵年下の奴にもからかわれたりするからさ〜、そういうの…なんか嬉しいわ。」
いい父ちゃんだな、と付け足し 私の頭をくしゃりとなでる。
