「あの!何もいりませんので、私をここで医者として雇ってはいたたげませんか?!
その、で、できれば住み込みで…。
私にできることなら他に掃除でも洗濯でもなんでもします!
どうか…お願いします!!」
先程よりもっと深く頭を下げ、2人に懇願する。
図々しいのは重々承知しているが、この機会を逃すわけには行かない。
壬生浪士組の屯所となれば、怪我も絶えない危険な場所だ。
つまり必然的に仕事ができる!
近藤さんは驚いて目を見開く。
「隊医!?き、君は医者なのかね?」
「左之から聞いた話じゃあお前の両親が医者だったと聞いてるが…?」
土方さんが鋭い目でこちらを見る。
「両親…は…、不逞浪士に殺されました…。
彼らは負傷した仲間を助けるべく、蘭方医をしていた両親を強引に連れ去ったのです。
ですが、その仲間とやらはだいぶ衰弱していて助けられませんでした。
そして怒った浪士たちに両親は殺されました。
だから…まだ知り合って間もない浪士組のあなた方に医者だと知られるわけにはいかないと思ったのです。」
今でも思い出す、あの衝撃的な訃報。
偶然 私たち姉妹は買い出しへ出かけていたため助かったが、その訃報を聞いて絶望のどん底に堕ちた。
当然その浪士たちは奉行所へ連行され、死罪となった。
「なんと…酷いことを…。」
「しかし、みなさんは私を助けてくださいました。
恩返しの為にも、お役に立ちたいのです。
ちょうど仕事を探していた所なんです。
安心してください、江戸ではもう蘭方医としての経験も積んでいます。」
すると近藤さんは
「ふぅむ……でもなあ…。
ここは男所帯だし、御堂くんには色々苦労をかけるだろう。
……どう思う?トシ」
と土方さんに視線を向ける。
土方さんはチラと近藤さんを見たあと、
「男装すりゃ平隊士にゃばれねぇだろう。
お前がどうしても働きたいってんならそれ位出来るよな?」
無表情のまま鋭い視線を向けられる。
……それは覚悟はあるのかと聞きたいのかしら?
だったらあるに決まっている。
