声の方向に目を向けると、小柄な男と二人の大きな男が私たちのところへ向かってくる。
「お前ら、女に寄ってたかって何やってんだよ…?」
長身でがっしりした男が眉間にシワを寄せてこちらを睨んでいる。
「あん?なんだてめえ!?」
すると今度は小柄な男が威勢よく前に出る。
「そんなに遊びてぇなら、俺が遊んでやんよ!」
「なんだと!われら武士を愚弄する気か!」
「上等だ!」
浪士二人組は私を突き飛ばし、小柄な男に向かっていく。
「あっ」
突き飛ばされた拍子に、地面に倒れてしまう。
もう少し優しくしてくれてもいいのに……。
「大丈夫か?」
腰をさすっていると、背が高くて髪をひとつにくくった男が、私の体を起こす。
「あ、すみません…。」
「……手赤いな。強く掴まれたんだろ。」
「え…?」
驚いて手首を見ると、確かに赤くなっている。
