しかし、鞄に教科書を詰めるのに時間がかかってしまう。


 そんな俺にしびれを切らしたのか、同じバスケ部で幼なじみの夕(ゆう)は、先に行ってしまったらしい。


 気付けば、教室には俺一人だけになっていた。


 あー、やべ。


 今日は三年生が体育館で卒業式の練習があるから、あんまり体育館使えないのに……!


 どんだけ頑張っても、不器用な俺は教科書が今だに鞄にしまえていなかった。


 本当に自分の不器用さを呪うぜ……。



「あっ」



──カシャン。