3年後。

桜の散る季節。

「結衣、今日は頑張るのよ!絶対うまくいくから。お母さん祈ってるからね!」

今日は目の手術。

病室で母が結衣の手を握り、力強く励ます。

「うん!がんばるよ!だって私信じてるもん」

だって・・・だって私の目を治してくれるのは・・・

「吉村さん、娘をお願いします」

母が神妙な面持ちで執刀医に念を押す。

「大丈夫です。お母さん。僕はこの日のために医者になったんですから」



時は流れる・・・。

リーンゴーン、リーンゴーン!!

教会の鐘の音。

「おめでとー!!」

祝福に包まれ、降りしきる雪の中、教会から姿を現す花婿と花嫁。

純白のドレスに身を包んだ花嫁が空を見上げる。

「大地・・・雪ってこんなにきれいだったんだね」

純白の雪。

ブーケよりも、ドレスよりも、純粋に、ただ純粋に輝く結晶。

「この雪の純白の美しさは、君にしか見えないんだ」

大地が結衣の手を握り囁く。

「じゃあ、大地には今何が見えてるの?」

大地がフッと照れたように笑う。

・・・僕にはずっと、結衣しか見えてない。

「え?なぁに?なんて言ったの!?」

「なんでもない!」

雪が、二人を祝福するように、ひらひらと舞い降りその純白の華を輝かせていた。