涙を見られないように駅までの道のりを下を向いて歩いた。 電車に乗ってからもずっと下を向いて。 水無瀬くんだけには、泣いた事バレないようにしなくちゃ。 「めんどくさい」って、思われちゃうよ。 笑顔、笑顔で! 私は、鍵を取りだし玄関の扉を開けて中に入る。 「ただいま。遅くなってごめんなさい」 ニコリ、と作り笑いをしてみる。 我ながら上手に出来たと思ったんだけど…… 「どうかしたか?目、腫れてる」