ただ愛されたいだけ。

かき氷を食べながら、聞いてみた。
「仕事、どう?」

『・・・たのしい、ですよ。』

「なにが、つらい?」

『上司も、先輩も。笑顔が、おもいやりが、心がないです。』

「でも、たのしいの?」

『たのしい、って思い込まないと、心が保てませんからね!それに、楽しそうに仕事している姿と気怠げに仕事している姿。お客様なら楽しそうに仕事している方が嬉しいじゃないですか!だったらどんなに嫌な仕事でもすっごく笑顔で、すっごく楽しそうにやってやろう!って思うんです。』

「高木さ、気づいてるのかわからないけど。調理の人間は皆、高木の笑顔とか努力とか仕事に対する姿勢とか、評価してるんだよ。だから、同じミスしても皆、高木には笑ってくれるだろう?落ち着け!!って皆、声かけてくれるだろう?あれはな、高木が朝早くでもおはようございます!って明るく元気に挨拶してるから、お疲れ様です!って必ず声をかけているから、高木のこと好きになってるんだよ。好きだから、ミスしてもフォローしてあげたくなるんだよ。高木は気づいていないかもしれないけど、皆、高木のこと微笑ましく見てるからな。
俺も、高木のこと気にしてる。この前の洗い場でのやりとりも聞いてた。俺、感動して泣きそうだったんだよ。契約社員だろって皆、馬鹿にして洗い場にやらせとけって言うし、やらせてる。でも高木はそれに飲み込まれてないんだよ。自分を忘れていない。すごいと思った。」