平凡な俺にも自慢のことがある。
それは、誰もが優秀と認める幼馴染みがいることだ

赤嶺 敦士。勉強、スポーツ何をやっても優秀、それに加えて男の俺が見ても爽やかでかっこいい。俗に言う「イケメン」だ。親父は政府のお偉いさんで、母親は元女優といった漫画でしか見たことのないような出来上がった家族構成だ。なんとも羨ましい。
彼とは家が近所で小さい頃からよく遊んだ覚えがある。
でも、生きてる世界が違うというか、小さい頃から別格だった。好奇心旺盛で気になったことはすぐに始める、驚きなのは何事も見ただけでやってしまうのだ。吸収力が凡人とはまるで違う。俺がスポンジ一個分だとしたら、彼はスポンジ何個分なんだろうか。別のもので例えた方が楽かもしれない。
こんなずば抜けた才能の持ち主が幼馴染み、そして俺の憧れの人だ。

「なに?顔に何かついてる?」
赤嶺 敦士は顔を手で撫でまわし確かめた。
「ごめんごめん、ついていないよ」どうやら敦士の顔をずっと見ていたようだ。
「朝からおかしいな幸汰は」
と、敦士は笑いながら先を歩いている。気分がいいのかずっと笑顔だ。