並木道に雪がしんしんと降り積もる。

麻衣子の脳裏にあの日の光景が甦る。

赤いコートの女性と歩いてた拓哉。

・・・もうそんなことどうでもいい。

今は、早く拓哉に会いたい!!

「麻衣子?」

懐かしい声がして、麻衣子は会いたい一心でその人を振り返る。

拓哉!!

少し髪型が変わったけど、拓哉、変わってない。

「伊藤麻衣子さんですね?僕は、秋野雅哉といいます。拓哉の双子の弟です」

え・・・?

「ほんとは拓哉のふりして会う約束だったけど、やっぱり僕にはできそうもないや」

「どういうことですか?」

拓哉にそっくりなその人はゆっくりと事の経緯を話し出した。

「拓哉と僕の両親は小さい頃に離婚して別々に引取られたんだ。僕達は親に黙ってこっそり会っていた。君が拓哉に双子の弟がいたことを知らなかったのも無理はない。拓哉は親に気を遣っていたのか、誰にも言わなかったからね」