腕の中でスヤスヤと気持ちよさそうに眠っているルカ。

今まではベッドを共にした女の血を飲んでいた。でもルカと出会ってからは不思議と他の女を抱く気にもならず、血も飲もうとしても飲めなかった。

このままではまずいと自覚しながらも、ルカの顔が頭を過ぎり行動に移す事が出来なかった。

体質的にも薬は飲めず、俺以上にジョシュが頭を抱えていた。それもそのはずだ。俺の今の状況を周りの者……特に他国の者にばれでもすれば、国自体を襲撃されかねない。

俺には敵が多い。

国を守るため必要な部分もあったが、恐らく性格面の原因が大きいだろう。そんな事を気にする必要などない程自分が大きな力を持っている事を知っている。だがそれは血を飲んで万全の状態の時に限る。

ジョシュは『ルカの血を飲め。』としきりに言っていたが、俺は首を縦に振る事が出来なかった。そんな俺がルカに「血を飲ませてほしい。」と言えるはずもなかった。