「ラキのお蔭で胸のモヤモヤがスッキリした。 ありがとう。」

「とんでもないです。 私で宜しければいつでもお話を伺いますので、お一人で抱え込まないで下さいね。」


一人っ子だからか一人で考える事に慣れてしまって、あまり自分から誰かに相談するなんていう事はなかった。頼り過ぎるのも良くないけど、一人で抱え込んで周りに心配を掛けてしまうのも良くないのかもしれない。

悩みもあるけど心配している事もある。この心配ごとはいくら一人で考えを巡らせたところで、きっと答えは出ないだろう。


「ラキ、一つ聞いてもいいかな?」

「はい、何でしょうか?」

「ヴァンパイアは血を飲む事が人間でいうところの食事なんだよね?」

「はい、さようでございます。」

「毎日飲むの? 誰の血を飲むの?」

「それは個人差がございます。 それから血の相性というものもございます。 ですから数日飲まなくても平気な者もいれば、毎日飲まなくてはならない者もおります。 私たち使用人は血が用意されておりますが、互いに飲み合う者もおります。」

「そうなんだ……それは、誰の血でもいいって事?」

「基本的にはどなたの血でも構いませんが、極力異性の血を飲むようにと言われております。 その方が吸収率が良いそうです。」

「……血を飲まなかったらどうなるの?」

「今まで血を飲まずにいた者がおりませんのでハッキリとした事は分かりませんが、血を飲まなければヴァンパイアとしての力が出せなくなると聞いております。 純血の方はどうなのか分かりませんが、私たち混血のヴァンパイアは自我を失う危険もあると言われています。」


シエルはいつもどうしているのか気になっている。けど怖くて本人に聞く勇気がなかった。しょうがない事かもしれないけど、私以外の女性に触れていると聞いたらきっと冷静ではいられない。