瞳を潤ませ酷く動揺しているルカを隣へ座らせ肩を抱いた。

一生懸命話をしようとするルカが涙を流した。ルカの涙を見たのは出会った時以来だ。まさか泣かせてしまうとは思わなかった。こんなにも戸惑わせる事になるとは思わなかった。これ程までに困惑している理由を、俺の都合のいいように解釈してしまっていいんだろうか。少しでも希望があるのなら、その希望を手放したくなかった。

ルカを抱きしめ、胸にしまい込んでいた気持ちを打ち明けた。するとルカは俺の背中に手を回し抱き付くと、涙交じりの声で「私、も……シエルの傍にいたい……。」と言った。その声は震えていたが、確かにそう言った。

体を離し、ルカの顔を覗き込んだ。


「本当に、いいのか?」


ルカは微笑み頷いた。

その顔は今まで見たどの顔よりも愛らしく、俺はルカの頬を両手で包み込み目に焼き付ける様にルカの顔を見つめた。

家族や友人、あちらの世界のいろんなものが大切なはずなのに、ルカは俺の傍に居る事を選んでくれた。辛い選択を強いらせた事、そして苦しい決断をさせてしまった事を俺は絶対に忘れない。


「ルカ、愛してる。」


またこうして心から「愛してる。」と言える相手に出会えるとは思っていなかった。


「私も愛、してる……。」


ルカは頬をほんのり赤く染め、照れ笑いを浮かべた。

俺はルカの体を抱き寄せた。華奢で温かなルカの体。この温もりよりももっとルカの心が温かくなるよう、俺の愛情は全てルカに注ごう。俺の全てを掛けてルカを守りたい。