どうやらセリアルはルカの事を気に入った様だ。雰囲気的に異性に対する好意ではない様で安心した。

他の男に取られるのではないかと心配したのは久しぶりだ。

セリアルに断りを入れてルカを部屋に連れ帰った。そしてラキはお茶の用意をするとサッと部屋から出て行き、俺はルカと二人になった。

向かい合わせにソファーに座ったが、ルカはどこか落ち着かない様子だ。何となく微妙な空気が漂い、ルカはその空気を壊す様にわざとらしく明るい声で話を振ってきた。

会ったばかりのセリアルとはあんなにも打ち解けていたのに、俺にはまだ気を遣うのかと思うと少しばかり寂しい気持ちになった。


「ルカ。」

「ん?」

「…………。」


ルカをこうして目の前にすると、やはり話した方がいいのではないかと思ってしまう。それなのにいざ口にしようとすると言葉に詰まってしまう。普段は言いたい事は遠慮なく言っているが、ルカ相手だと勝手が違うな。


「言いたい事あるんじゃないの?」

「ルカがこの世界にきてもう直ぐ一年が経つ。 俺にとっては一年など本の一瞬の時間だが、お前にとっては長い時間だっただろう。 ルカ……今でも、元の世界へ戻りたいと思っているか?」

「え……?」

「お前の居た世界を見つけた。 俺なら元の世界へ帰してあげられる。」


「帰りたい!」と即答されると思っていたが、予想を反してルカは困惑した表情を浮かべた。