あたふたしていると、シエルはクスクスと笑い始めた。

もしかしてからかわれたの!?


「嘘だよ。 本当にルカは可愛いな。」

「やっぱりからかってたの!? 酷い!!」

「ごめん、ごめん。」

「……初めて、だったのに。」


ボソッと呟いた声はしっかり聞こえていたらしく、シエルは目を見開いて固まってしまった。


「……初めて?」

「そうだよ!」


恥ずかしいから聞き返さないでほしい。もう本当にヤダ……。きっとシエルは恋愛経験豊富だから、こんなお子様な私に呆れてる。恥ずかしくて居た堪れない。

俯いていると、突然後ろから抱きしめられた。


「初めてのキスの相手が俺で良かった。」


え?


「恋愛初心者って事だよ? 重たく、ないの?」

「そんな事を思う筈がないだろう。 ルカの全てを知る男は俺だけでいい。」


体ごと後ろを向かされ、シエルの胸に飛び込んだ。シエルの胸に手を当てて顔を上げると、シエルのひんやりした掌が頬に触れた。目を閉じると唇に柔らかい感触。二度目のキスはしっかりと幸せを感じた。

シエルになら、私の全てをあげたい……心からそう思えた。