元の世界へ帰ればみんなと会えるし、悲しい恋をしなくて済む。だけどシエルの傍にはいられないし、もう会えなくなってしまう。

どっちが辛いのかな……?

たとえ残ったとしても、シエルは私じゃなくて綺麗な純血のお姫様と結婚する。それを見届ける覚悟があるの?その覚悟ができたなら、ただ傍で想っている事は許されるのかな?

シエルが私の頬に触れ、指をスッと動かした。


「すまない。 まさか泣かせてしまうとは思っていなかった。 それにこんなに悩ませるとも思っていなかった。 そんな顔をしたお前が悪いんだからな。」

「え……っ。」


優しく包み込むように抱きしめられた。


「シ、エル……?」

「迷いがあるのなら、ずっと俺の傍にいろ。」


今、何て……。


「本音を言えば、ルカが帰りたいと言っても帰したくない。」

「っ……本当に?」

「あぁ。 ずっとここに閉じ込めていたいよ。」


どうしよう……夢でも見ているみたい。涙がどんどん溢れてくる。

シエルの背中に腕を回し、ギュっと抱き付いた。

お父さん、お母さん……ごめんさない。


「私、も……シエルの傍にいたい……。」