「美味しい?」

「あぁ、ルカが食べさせてくれたから、普段食べているものよりも美味しいよ。」


甘い空気に耐えられなくて口を開いたら、更に耐えられない空気になってしまい、どうしていいのか分からなかった。

今日のシエルはどうしちゃったの!?いつもはそんな事言わないのに……。

嬉しいのに戸惑いの方が大きくて、頭がパンクしてしまいそうだった。

シエルはクスッと笑うと、私の頬に軽く触れた。


「赤い顔も可愛いな。」

「っ!?」


またそういう事をサラッと……っ!!

まるで魔法でも掛けられているみたいに、シエルの一言一言に心臓が煩く反応する。

それからもシエルの言動にドキドキさせられっぱなしだった。本気なのかからかわれているのかは分からないけど、兎に角幸せな時間だった。

日が傾き、少し肌寒くなってきた。するとシエルが自分の上着をそっと私の肩にかけてくれた。


「ダメだよ! シエルが風邪引いちゃう!!」

「心配しなくていい。 ヴァンパイアに気温はあまり関係ない。」

「そうなの!?」

「あぁ、真冬に裸で外にいても平気だろうな。 純血はな。」


一緒に居るとシエルがヴァンパイアなんだという事をたまに忘れてしまう。こういう話をすると、本当に生きる世界が違う人なんだなって実感する。