目をトロンとさせて欠伸を漏らすルカ。その仕草を見て胸に懐かしさが広がっていく。

ローズもこうして待っていてくれる事があった。

目の前に居るのはローズなんじゃないかと、錯覚を起こしてしまいそうだった。


「明日ラキと一緒に女官長もここへ来るそうだ。」

「え!? 女官長も!? 何で!?」


さっきまで眠そうにしていたくせに、驚いた顔をすると次は不安そうな顔をした。

忙しい奴だな。


「ただの気まぐれだろう。 何にせよ、そんなに身構える必要はない。 厳しいが優しく温かい方だ。」


俺の言葉に安心したのか、強張っていた表情が段々と柔らかくなり、明らかにホッとした顔をした。


「俺はシャワーを浴びて寝る。 先に寝ろ。」

「うん、分かった。 おやすみ。」


猫の様に目をこすりながらベッドルームへ向かったルカの姿が見えなくなり、俺は力が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ。

ルカの後姿を見送りながら、可愛いと思ってしまった。

一緒に居て嫌な気がしないのはローズに似ているからか?それとも他の女と違い、俺に媚びる事をしないからか?

いくら考えようとも、今はまだ色んな感情に対しての答えが出る気がしなかった。