女官長であるカナリアは、俺が生まれるよりも前からこの城で女官長を務めている。城内の者たちからの信頼は厚い。

カナリアは幼い頃の教育係でもあり、俺にとっては第二の母の様な存在だ。


「何か問題でも?」

「いいえ。 本日はシエル様のお許しを頂きたくこちらへ参りました。」


カナリアが言わんとする事は何となく分かっていた。


「何だ。」

「明日、私もラキと共にルカ様の元を訪れても宜しいでしょうか。」


そろそろそう言いだすのではないかと思っていたよ。


「好きにするといい。 だが分かっているとは思うが、余計な事は話さない様にな。」

「承知しております。」


女官長は他にも何か言いたげな顔をしていたが、「お仕事中失礼致しました。」と言い、部屋を出て行った。

その後俺も職務を終え、自室へ戻った。するとリビングのソファーでウトウトしているルカを見つけた。

初めの頃は使用していい部屋を指定していたが、今では廊下に出なければどの部屋も自由に使っていいと言ってある。


「まだ起きていたのか。」

「お帰りなさい。 最近全然顔を合わせてなかったから、待ってたの。」