「母は身体が弱く、薬を買うのにも治療を受けるのにもお金が必要でした。 純血は病気などに無縁ですが、混血は人間の血が混ざっている為まれに身体が弱い者がいるそうです。」

「じゃあラキが家計をやりくりしてるの?」

「妹と二人で家計を支えています。 このお城で働ける様になって、だいぶ家計が楽になったんです。 お城での住み込みのお仕事はお給料が良いので中々空きが出ないですし、空きが出たとしても志願者が多くて働くのが難しいんですよ。」

「お城の仕事に就くのってそんなに大変なんだね。」

「はい、とっても。 それでも募集していると聞いて急いでお城に向かったんです。 お城に着くと門の前はたくさんの女性で溢れかえっていて本当に驚きました。」


ラキの話しはいつも驚く事ばかりだ。


「それだけ大勢の女性が押しかけて来ているというのに、お城で働く使用人は女官長がお一人で決めていらっしゃるんですよ。」


ラキの話しに何度か女官長という言葉が出てくるが、いつも何となく怖そうな感じがする。


「女官長と面接とか試験みたいな事をするの?」

「いいえ、お会いするだけでお話はしません。」


え?何それ!?第一印象で決めるって事!?

バイトの面接を受けた事はないけど、バイトをしている友達からはそんな面接の仕方は聞いた事がない。


「女官長にはオーラが見えるんですよ。」

「オーラ?」

「はい。 そのオーラでどういう人物か、適正は問題ないかなど色んな事が分かるそうです。」