着るものはシエルがドレスを用意してくれていたが、着慣れないためワガママを言ってワンピースを揃えてもらった。その時のドレスも取って置いているので、たまにラキが気分転換にと着せてくれる。


「本日はどのようなお話になさいますか?」


ラキはハーブティーをカップに注ぎ、テーブルの上に置いてくれた。ティータイムの飲み物はいつもラキがブレンドしてくれたハーブティーだ。どのブレンドも美味しくて、飲むとホッとする。


「今日はラキの家族の話しが聞きたい。」

「私のですか?」

「うん、ダメかな?」

「つまらないお話になってしまいますよ?」

「ラキが嫌じゃなければ聞いてみたい。」


ラキは自分の分のハーブティーをカップに注ぎ、私の前に座った。未だに一緒に食事はしてくれないけど、こうしてお茶はしてくれるようになった。


「私の家は母と妹の三人家族です。 父は……殺されました。」


……え? 殺され、た?


「ラキ……ごめんなさい。 そんな事だとは知らなくて、家族の話しを聞きたいなんて言って……辛い話をさせてしまって、本当にごめんなさい。」

「そんなお顔をなさらないで下さい。 もう100年も前の話しですから、悲しいとか辛いという感情はないんです。」


私の重くしてしまった空気を換える様に、ラキは微笑んでハーブティーを一口飲んだ。