この世界に来てどのくらいの時間が過ぎただろうか……そう思ってしまう程、この世界の知識が増えてしまった気がする。

純血のヴァンパイアは混血のヴァンパイアに比べ、一人子供を産むと二人目以降は授かるのが難しいらしい。だから純血のヴァンパイアは希少価値が高く、数も少ない。そして女の子よりも男の子が生まれる確率が高い。その為、今未婚の純血の姫は少ないらしい。

純血のお姫様は引く手あまたなんだろうなぁ。でもそれも大変そう。

完璧他人事だった。

話しを聞けば聞くほど、人間で良かったと思った。

半永久的に生きるヴァンパイアだが、純血の姫はみんなから羨望の眼差しを向けられる代わりに、死ぬまで命を狙われるそうだ。純血の姫の血には特殊な効果があり、その血を飲めば強い力を手に入れる事ができるのだと言う。

どんなに美しく生まれたとしても、死ぬまで自由がないなんて辛い。

_コンコンコン。


「ルカ様、お部屋に失礼しても宜しいでしょうか。」

「どうぞ。」


ラキは部屋に入るなり、パァッと明るい表情を見せた。


「まぁ! 本日は水色のワンピースになさったんですね! とっても良くお似合いです!」

「あはは、ありがとう。」


ラキはいつもこうして何かしら褒めてくれる。素直に嬉しいけど、その度に両親の事を思い出してしまって、少し複雑な気持ちになる。