「そこに座れ。」


言われるがまま、窓際にテーブルと一緒に置かれている椅子に座った。するとシエルも椅子に座り手に持っていた箱をテーブルに置くと、箱を開けた。箱の中から次々と取り出されるものを見て、呆気にとられた。


「怖い思いをさせた上に傷つけてすまなかった。」

「っ……。」


消毒液の付いた綿を首に当てられ、ピリッとした痛みが走った。

首を絞められた時に怪我したんだ……。

その時の感覚を思い出して体が強張った。


「俺が怖いか?」

「っ……怖い。」

「正直だな。」

「だって……嘘つくなって、言ったから……。」


私がそう言うと、シエルは少しだけ笑った。けどそれは見てみたいと思っていた笑顔ではなくて、とても切ない笑みだった。


「俺たちヴァンパイアはこの程度の怪我なら一瞬で塞がってしまう。 お前たち人間は本当にか弱い生き物だな。」

「…………。」


何て答えていいか分からなくて、首に包帯を巻いてくれているシエルの顔を見つめた。よく見るとまつ毛はハニーブラウンみたいな色をしていて、金色に近い色をしていた。肌は白くてきめ細かい。相手は男性にも関わらず、見れば見るほど嫉妬してしまいそうな程美しかった。