ジョシュさんに促され食事をしようとするが、フォークを持った手が動かなかった。

目の前に並べられたサラダやパン、スープにサンドウィッチ、フルーツ……どれも美味しそうなのに食欲がわかない。


「食べないの？」

「折角私の分まで用意してもらったのにすみません……食欲がなくて……。」

「スープだけでも飲める？　何も食べないんじゃ体に悪いよ。」

「そうですよね。　スープ、頂きます。」


フォークをスプーンに持ち替え、スープを一口飲んだ。スープだけでもと思い頑張って飲み干すと、それだけでお腹いっぱいになった。

普段はもっと食べれるんだけど……胃も緊張してるのかな。


「デザートに苺はどう？」

「じゃあ、一つ頂きます。」


ジョシュさんに優しい笑顔で言われたんじゃ断れるわけもなく、苺を一粒頂いた。真っ赤で甘そうな色をしていたけど、口に入れて噛むと見た目以上に甘くてビックリした。


「どう？　美味しい？」

「すっごく甘くて美味しいです。　こんな甘い苺食べたの初めてです。」

「やっと笑ったね。」

「え？」

「泣いている顔よりも笑顔の方が君によく似合う。」


男の人にそんな事を言われたのは初めてで、顔が熱くなった。